2926人が本棚に入れています
本棚に追加
/1300ページ
◇◆◇◆◇
翌日の昼までオレは泥のように眠った。
支配人が帰った後、『喝采の嵐』の面々と酒場を借り切って、打ち上げを行ったのだ。
舞台の成功を祝って、大いに盛り上がった記憶がある。
「らから、なんれわらしのればん(出番)が、なかったのれすか?」
ミルファニアさんが酒を飲んで座長に詰め寄ったこともよく覚えている。
本来は、アレク公子の婚約者として登場し、エミリア皇女を執拗に苛める役どころだったのだが、時間の都合で割愛されてしまったのだそうだ。
「誰だ、ミルファニアにこんなに飲ませたのは!」
「いえ、自分でほいほい飲んでましたけど……」
元吟遊詩人の座員が座長の問いかけに答える。
「明日の夜は祝賀会があるんだ。みんな、ほどほどに……おいリデル君、大丈夫か?」
「にゃははは!」
かく言うオレもヒューが止めるのも聞かず、強いお酒を呷ったせいで、この後のことはあんまりよく覚えてない。
決して、クレイとソフィアがいつものごとく姿を消したせいなんかではない。
べ、別に気になんかしてないんだから。
とにかく目を覚ますと、もう昼は過ぎてるし、おまけに酷い頭痛でベッドから起き上がれなかった。
体も何となくだるいし、微熱もありそうだ。
そう言えば、そろそろそういう周期だったことも思い出され、さらにブルーな気分になる。
「よお、お早う。二日酔いでダウンしてるんだって?」
オレが唸っていると、クレイが爽やかな笑顔で入ってくる。
こういうタイミングに限って、現れるこいつを、本気でどうしてくれようかと思う。
最初のコメントを投稿しよう!