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「ソフィア、出迎えありがとう。遅くなって、ごめん」
「いえいえ、無事なご到着、何よりでございます」
西シトリカの船着場に着くと先行していたソフィアが出迎えてくれた。
相変わらずの美しさに、船を待つ人達の注目を浴びているようだ。
この後の予定は、ソフィアが手配してくれた宿屋に一泊し、明日の早朝にカンディアへ出発することになっていた。
馬車や馬達の下船を待つ間、ソフィアと久しぶりに話そうとしていたら、クレイに話があると建物の陰に連れて行かれる。
そして、周囲に人がいないのを確認すると、真剣な表情で口を開いた。
「お前が、サラ達を同行させると決めたことに反対する気はない。お前の性格はよくわかっているつもりだ。だから、確認したいんだがサラにどこまで打ち明けるつもりなんだ?」
クレイの質問の意図は明白だ。
今後も、サラ達と一緒に行動するとなると、オレが女であることを秘密にしておくのは非常に難しいだろう。
宿屋や入浴など、クリアできない問題も多いはずだ。
さらに、オレの正体だって何かの拍子にばれる恐れもある。
クレイの危惧しているのは、そのあたりだろう。
だから、恐る恐る聞いてみた。
「その……全部、話しちゃダメ?」
「止めといた方が身のためだな」
クレイは嘆息しながら、即座に反対する。
「でも……」
「お前の気持ちはわかる。信じた相手に嘘をつきたくないんだろう?」
図星を指されて黙り込む。
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