次の街へ

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「ねえ、クレイ。アルサノーク傭兵団と言えば、かなり有名な傭兵団じゃなかったっけ?」  ふと、思い出してクレイに問いかける。 「う~ん、かつてはそうだったんだが……」  と、クレイの返答は歯切れが悪く、ユールを見ると俯いてしまっている。  ん? どういうことだ。  確か、前にカンディアに行った時に聞いた話では、オーリエの父親が率いるグレゴリ傭兵団に次ぐほどの有力な傭兵団だったはずなのだけど。 「まあ、その話は追い追いするとして、これからどうするつもりだ?」  ユールに気を遣ったのか、クレイは話題を変える。 「どうするつもりも何も、ユールをアルサノーク傭兵団まで送るに決まってるだろ」 「まあ、そうなるわな」  クレイは前方を見つめたまま溜息をつく。 「ユールさん、うちの馬鹿がそう言ってるが、構わないか?」 「い、いえ、そこまでしてもらう訳には……」 「いやいや、怪我してるユールさんをほっとけるわけないでしょ。ぜひ、送らせてよ」    オレの方からお願いするとユールは困った顔をする。 「俺からもお願いするよ。そうじゃないと、こいつがうるさくてね」  クレイが助け舟を出してくれたけど、何か納得できない発言だぞ。 「君達も巻き込むことになってしまう……」 「それなら、もう巻き込まれてるから、大丈夫さ」  オレが胸を張って答えると、クレイは『威張って言うな』的な表情でオレを睨んだ。  少しだけためらいを見せたユールは意を決したように口を開いた。 「すまない。恩に着させてもらおう」
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