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「やっとカンディアか……」
オレ達はとうとう、かねてから中間地点に掲げていたカンディア城塞都市に到着した。
カンディアは四方をカルストリ山系に囲まれたカンディーネ盆地のほぼ中央に位置しており、三重の城壁に守られた極めて強固な城塞都市だ。
領主であるオストフェルト伯爵領の中心都市であり、カイロニア・ライノニア両陣営の勢力圏の境界にある都市としてもよく知られている。
元々は東西を繋ぐ交易都市として発展してきたが、双子戦争の際にオストフェルト伯がカイロニア陣営に属したことから最前線の街となった経緯がある。
カイロニアの援助により城塞化されたカンディアは二回の内戦の内に都合四回の局地戦があったほどの激戦区で、傭兵たちにとっては良い稼ぎ場所でもあった。
前にも言ったと思うけど、オレとクレイも四回目のカンディア紛争に傭兵として参加して、カイロニア軍に勝利をもたらした立役者となったことがある。
それが、エクシーヌ公女と出会うきっかけであり、引いては現在のオレにつながるターニングポイントと言っても良かった。
そう思うと、久しぶりに訪れたカンディアに感慨深いものを感じ、オレは城壁をただひたすら見上げていた。
オレが一頻り感動しているのを他所に、回りの面々は淡々と入城の準備を始めているようだ。
どうやら、今回の面子は皆、カンディアに来たことのある者ばかりで、オレのように感傷にふけったりしないみたいだ。
「リデル、そろそろ入城するんで、準備をしてくれ」
クレイに声をかけられ、前方を見ると入城門に列が出来ているのが見えた。
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