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ロスラム傭兵団の連中とオレ達の間に割り込んできたのは、領内の治安維持を受け持つ部署の制服を着た一人の兵士だった。
大方、街の中心街での乱闘騒ぎを聞きつけて、争いを治めにきたに違いない。
オレとしては予定どおりの流れと言えた。
何故なら、バルボフをすぐに倒さないで時間稼ぎしていたのは、こうした公権力の介入を期待したからだ。
実際、ロスラム傭兵団の連中を叩きのめすのはおそらく簡単だったけど、目撃者多数のこの状況で逃げ出すことは不可能だったし、治安当局に拘束されるのは、ぜひとも避けたかった。
なので、治安兵などの公の兵士によって、事態を収拾することが望ましかったのだ。
ただ、現れたのがよく知る人物だったのが想定外なだけだった。
「双方、落ち着いてくれ。俺はディノン。領主様からこの地区の治安維持業務を委託されたグレゴリ傭兵団の者だ」
まさか、ここであのディノンと再会するとは思わなかった……。
ディノン・ウェグトール……グレゴリ傭兵団の自称有望株で、オーリエが皇女候補生だった時の護衛役だった男だ。
顔は悪くないのだが、女にだらしなく誰彼かまわず口説く節操のなさで、オレ達皇女候補生の間では最低な男ランキング堂々の第一位だった。
ちなみに好感度第一位はヒューだったけども。
例の一件の後、好意を寄せていたオーリエがデイブレイクと親しくなり、失意のあまりカンディアに戻ったと聞いていたが、こんな形で再会するとは夢にも思わなかった。
オレが皇女になったことを知る数少ない人物の一人だ、できれば接触は避けたかったんだが……。
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