ロスラム傭兵団

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「ふん、髭野郎んとこの下っ端か」 「団長、ここらが潮時かと思いますが」  苦々しげにディノンを睨むオダンにドゴスが提言する。 「ここでグレゴリ(傭兵団)といざこざを起こすのは得策ではありません」 「そうですぜ、団長。副団長の言うっ……ぐえ」  オダンが意見した団員をいきなり殴り飛ばし踏みつける。 「うるせー、言われなくてもわかってる。がたがた言うな!」  ドゴスは倒れた団員を見下ろした後、オダンに問う。 「団長の仰せのとおりに致しますが、如何なさいます?」 「ふん、お遊びはここまでだ……おい、坊主! その女に誑(たぶら)かされて大会に出るんだろうが、大会じゃきっちり落とし前はつけさせてもらうからな。逃げるんじゃねえぞ」 「へ? いや、あのオレは……」  オダンは一方的に吼えると、オレの言い訳も聞かずに団員を引き連れて立ち去っていった。 「リ、リデルさん。本当に大会に出てくれるんですか?」  オダンんの残した言葉にオレが困惑していると、ネフィリカが顔を赤くして勢い込んで迫ってくる。  ううっ……オダンが勝手に言っただけだと言いたかったけど、言い出しにくい。 「え、リデルだって?」  しかも、仲裁したディノンが事情を聞こうと、こちらに近づいて来たタイミングだったので、ばっちり聞かれてしまった。  ディノンは腰をかがめて、フードの下のオレの顔を覗き込む。 「おお、本物だ!……ん、でも何でこんな所に皇……」 「ひ、久しぶりだね、ディノンさん!」  オレは皇女と言わせないように大声で言葉を被せた。
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