ロスラム傭兵団

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「え? ああ、そう言えばそうだ。帝都で別れて以来だな」 「そうだよ、それより仕事はいいの? みんな成り行きを気にしてるみたいだけど」  周囲の群衆はオダンが立ち去った後も、当事者の一方であるオレ達が居残っているので、ざわざわしながらオレ達の動向を気にしていた。 「しまった、早く説明しないと」  気づいたディノンは集まった人々に、もう騒ぎは収まったので立ち去るように呼びかけ始める。  見物客は「なんだ、もうお終いか」などと口にしながら三々五々散っていった。 「本当のところ、どうするおつもりなのですか?」  いつの間にかヒューが横に来て、心配そうにオレを見ている。 「うん、とりえずクレイに相談してみるよ」  戸惑うオレを見つめるヒューの目が、ほんの少し笑っていたのをオレは見逃さなかった。 ◇◆◇◆◇ 「なるほど、だからこいつがここにいる訳だ」 「何だよクレイ。久しぶりに親友と再会したっていうのに、その愛想の無い面は」  呆れ果てた表情のクレイにディノンが口を尖らせて絡む。  例の宿屋に帰ってきてクレイと合流したが、事の顛末を聞いた途端にクレイは渋面となった。  しかも、ディノンは事情聴取するという触れ込みで、ネフィリカはオレ達が大会に参加してくれるか確かめるためにオレ達に同伴していた。 「クレイ、怒りたい気持ちもわかるけど、まずはオレの話を聞いてくれ」  オレはドゴスに会ったこと、オダンに喧嘩を売られたこと、その場にいた人々にアルサノーク傭兵団の一員だと思われたこと……包み隠さずクレイに話した。 「……それで、お前はどう考えているんだ」  一つ大きなため息をついた後、クレイは真面目な顔でオレに問いかけてきた。  意外にも怒ってはいないように見える。 「クレイがオレのこと心配してくれているのはわかってるつもりだ。ただ、ドゴスのことは正直、許せない気持ちも残ってるけど、いますぐどうこうしようとは思ってはいない。オレだっていつまでも子どもじゃないし、自分の立場は理解している」  オレの言葉にクレイは黙って耳を傾ける。 「けど、それとは別にしても、ネフィリカを助けてあげたいと思ってる」  オレがはっきりと自分の気持ちを宣言すると、クレイは一瞬だけ目を閉じ天を仰いだが、すぐにオレを見つめて言った。 「…………ああ、お前がそう考えたなら、それでいいと思う」
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