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「僕は反対です。こんな得体の知れない連中を仲間に引き入れるなんて、危険じゃないですか。確かにユールを助けてくれたことは認めますが、僕は信用できない」
「俺はガイウスと違う理由で反対です。これ以上、リデルさん達を巻き込むべきではないと思います」
ネフィリカの前に立つガイウスは苦々しく、ベッドに横たわったユールは難しい顔付きで反対の意を示す。
オレ達は今後の方針を決めた後、アルサノーク傭兵団に加入するために、前にも訪れた傭兵団事務所に集まっていた。
「ユール、これはオレの方からネフィリカに頼んだことなんだ。だから、その考えは見当違いだよ。少しも気に病むべきことじゃない。それと、ガイウスさんの反対理由については、これからの行動を見て信用してもらうより他ないと思う」
オレはネフィリカが口を開く前に、二人に対し説得を試みる。
「リデルさんの言うとおりです。それにこれは願ってもない申し出だと私は思います。実際、私達には選択の余地が残されていません。ここは素直に申し出を受けるべきだと思うのです」
ネフィリカもオレの言葉を引き継いで、ガイウス達に同意を求めた。
「ネフィリカ……団長が良くて、リデルさんがそう言うなら、俺としては異存はない。そもそも、俺の立場じゃ、強いことは言えないしね」
負傷した腕を悔しげに見ながら、ユールは頷いた。
「そ、そんなことない! ユールがいつも頑張ってくれてたのは、私が一番知ってるから」
「……ぼ、僕としては納得しかねるね。君達がオダンの手の者じゃないって証拠がない」
あれあれ、ガイウス君、ネフィリカの言葉で渋面になってるよ、若いなぁ。
証拠ねぇ……オダンの手の者じゃないって証拠はないけど、オダンの手の者だという証拠もないんだけど。
ん、待てよ。もしかしたら、ガイウスの同意を得る秘策を思いついたぞ。
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