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そもそも、ガイウスは惚れているネフィリカに悪い虫が近づくのを恐れているから、オレに対して悪感情を持っているのだと思う。
自分より腕が立ち、綺麗な顔のオレにネフィリカを取られるんじゃないかと心配しているのだろう。
だから、オレが今から話す内容で、きっと安心してくれるに違いない。
「ネフィリカ、ガイウス、ユール……君達に一つ謝らなければならないことがあるんだ」
「謝ることがあるだと!」
ガイウスが敏感に反応する。
「ああ、うん。実はね……」
何だろう、最初はいけ好かない印象だったけど、ここまで素直なリアクションだと、かえって親しみが湧いてくる。
「……こう見えても、オレ女なんだ」
先ほどの打ち合わせで、皇女であることは隠し通すが、女であることについては同じ団に入る上で、いろいろと面倒が生じるので、明かすことに決めていたのだ。
「えぇぇぇ――――――――!」
最初、三人はオレが何を言ったのか理解できなかったようで、ぽかんとしていたが、少し遅れて驚きの波が押し寄せたらしく三者三様の反応を見せた。
ネフィリカは口を押さえて、驚きの声を飲み込み、ガイウスは素っ頓狂な声を上げ、ユールは驚きのあまり顔が強張っている。
「ごめんよ、騙すつもりはなかったんだけど、旅の道中は危険だから自衛手段として男の振りをしてたんだ」
前にも使った気がする理由を述べると、最初に立ち直ったのはユールだった。
「なるほど、そういう話はよく聞きます。リデルさんなら、そういう配慮が確かに必要でしょう。別に謝ることはないですよ。ね、団長」
「……リデルさんが女、リデルさんが女……」
ユールが声をかけるが、ネフィリカは未だ衝撃から立ち直っていないようで、何やらぶつぶつ呟いている。
仕方なく、ユールはガイウスに目を向けたが、彼は熱に浮かされたかのようにオレをじっと見つめていた。
う~ん、何だか不穏な予感。
「そんな訳だから、加入は許してもらえるかな?」
三人から、反対の声は上がらない。
「じゃあ、これからよろしくお願いします」
こうしてオレ達はアルサノーク傭兵団の一員となった。
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