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「はい、という訳でリデル君。先生がどうして怒っているのか、わかりますか?」
「え、と……やりすぎちゃったから? てへっ」
「てへっ、じゃねえ。ルマの時にも言っただろ。何度も同じ事を言わせるな!」
「せ、先生。暴力反対、口調が変わってます」
「あの……この茶番、いつまで続くんですか?」
ガイウスが呆れたようにオレとクレイを見つめている。
現在、初戦突破のお祝いと反省会を兼ねた夕食会を『桃色の口付け亭』の酒場の一角で行っていた。
「お二人はいつもこんな調子なので、いちいち気にしていたら身が持ちませんよ」
ヒューがにこにこしながら、明らかに誤解を招く説明を加える。
「そ、そうなんですか……それにしても、リデルさんは凄いですね。あんな短い時間で相手の大将を倒すなんて。僕の出る幕は全くありませんでしたよ」
ガイウスは素直に感心している目でオレに賞賛を述べる。
最初のオレに対する態度を考えると、真逆の反応に思えた。
見直されたのは嬉しいけど、ほんの少し、男の視線が感じられるのはオレの自意識過剰だろうか。
「だから、それが問題なんだって、言ったよな、リデル」
「ああ、あれだろ。武闘大会にはショー的な要素があるから、相手や観客のためにも、ちゃんと見せ場を作れって話だろう」
「なんだ、ちゃんと覚えているじゃないか……じゃ、なんで出来ないんだ」
「め、面倒だったから?」
「…………」
「あのっ、無言で頭を鷲掴みするの、止めてくれ……」
「まあまあ、二人ともその辺にしてはいかがですか? ガイウスさんもいるのですから、仲良くするのは別の場所で……」
「仲良くしてない!」
ヒューの言葉にオレとクレイの声が重なる。
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