カンディア武闘大会

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「はいはい、わかりました。そういうことにしておきます。……それにしてもネフィリカさんは遅いですね」  ヒューはオレ達の反論をスルーして、ここにはいない人物を気にかける。  ネフィリカは初戦突破を受けて、団長としての手続きがあるらしく大会運営の元に出向いていた。  念のため、ソフィアにも同行をお願いしたので、二人は用事が済み次第、反省会に参加する予定だ。  ちなみに今回はオレの一撃で終わってしまったが、通常なら負傷状況の報告や継戦できるか等の意思確認を次戦の前に団長がすることになっているらしい。  また、アルサノーク傭兵団は最低登録人数である5人しかいないため、出場者枠は固定しているが、大手の傭兵団は多くの団員を登録させており、戦いごとに出場する者を代えることが出来た。  その出場メンバーの報告も併せて行われることになっているそうだ。  逆に考えれば、アルサノークは誰か一人が負傷で欠場になると、自動的に敗戦が決まってしまう。  巷で横行している賭けで、アルサノーク傭兵団の賭け率が振るわないのは、そういう理由もあったようだ。 「まあ、『白き戦姫』のおかげで、初戦突破はできたわけだし、御の字とするか。何よりリデル以外の人間の技量が秘匿できたのは大きい。他の傭兵団もリデルには注目しているが、他のメンバーにまで目がいっていないしな」  「そうですね……私なんか完全に色物に見られていますし」  クレイの意見にヒューも同意するが、ちょっとだけ、無念さが混じっている。 「ごめん、次回以降は気をつけるよ」 「何気に次に勝つことが前提となっているのが、凄いですね」  呆れているガイウスを横目に、オレはゆっくりとオレ達のテーブルに近づいてくる人物に目を向けた。
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