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「久しぶりだね、リデル。何か楽しいことを始めたようじゃないか」
現れたのはサラとワークだ。
「サラ、久しぶり。いろいろ振り回した形になってごめん。迷惑かけたね」
クレイの進言で、一度は急に出発すると連絡したにも関わらず、すぐに武闘大会に参加するから滞在を延ばすと取り消しの連絡をしたりとサラ達には多大な迷惑をかけたと思う。
オレが神妙な顔で謝罪するとサラは笑って答える。
「いや、おかげさまで儲けさせてもらったよ。アルサノークのオッズを見て即買いして正解だったね」
「そりゃ、どうも」
「ただ、もっと早く連絡してくれれば、あたしとワークも参加できたんだが……残念だよ」
どうやら本気で残念がっているようだ。
「リデルさん、この人達は?」
ガイウスが怪訝そうな顔でサラ達を見ている。
「ああ、ごめん。オレと一緒に旅をしてきた仲間だよ。カンディアでは、用事があって別行動を取っていたんだ」
「ふうん」
アルサノーク傭兵団が不人気だったのを指摘されたのが不満であったようで、好意的でない視線をサラ達に向ける。
「や、これは失敬。アルサノークのお方でしたか。あたしは旅の『文芸家』のサラ、あっちは連れのワーク。以後、お見知りおきを」
ガイウスの態度も意に介さず、にこにこしながら自己紹介するサラにガイウスは面食らっている。
相変わらず、押しが強いというか面の皮が厚いというか、サラの行動はいつも通りだ。
「しかし、クレイはともかくリデルとキースの登録名と格好には……本気で笑わせてもらった。あれはいかんよ」
「あ、あれは無理矢理に……」
「まさか、あんな恥ずかしい連中がめちゃ強いとは誰も思わないから、インパクトあったみたいだね。あちこちの酒場で大盛り上がりのようだよ」
「…………」
思わずクレイをきっと睨みつけると、奴はどこ吹く風で目を合わせない。
そして、誤魔化すように話題を変える。
「ほらリデル、ネフィリカが戻ってきたぞ」
目を向けると、何やら嬉しそうなネフィリカと周囲に目を配るソフィアの姿が目に入った。
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