カンディア武闘大会

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「お待たせしてごめんなさい、皆さん」 「いや、こちらこそお先にやらせてもらってるよ。それより、ご機嫌だけど何かあったの?」 「ええ、大会運営からお褒めの言葉をいただきました。思っていた以上の強さだって。今後も期待してるとのことです……あれ、こちらの方々は?」  席に着いたネフィリカはサラ達に気づき、驚いた目をする。 「ああ、この人達たちは……」  オレはガイウスと交わしたやりとりを再現する。 「そうでしたか。サラさん、すみません。私達のために足止めしてしまって」 「いやいや、構いませんですよ。文芸家としては見逃せない出来事ですから。それに上手くいったら、お芝居にできるかもしれませんし」 「お芝居?」 「おや、リデルから聞きませんでしたか。我々、一行は少し前まで一座に入っていましてね……特にリデルは大人気女優でしたよ」  オレの『言うな』という口ぱくに気づかない振りをしたサラは、笑顔を浮かべながら暴露する。  サラの奴、絶対わざとだ。 「それは……そうでしょうね。リデルさんなら当然でしょう。私もぜひ見たかったです」  想像したネフィリカがうっとりとした目でオレを見つめる。 「でしょう。このまま、埋もれさせるのは惜しい。リデル、ぜひもう一度……」 「絶対、やだ!」  オレの拒絶の言葉にサラはおろか他の一同も残念そうな顔をするのは、ホント止めて欲しい。  もうやんないからな。 「そうなのかい、リデル。今回の武闘大会の格好といい、この宿屋の名前を口にする時の表情といい、あたしはてっきりリデルは恥ずかしい目に遭うのが好きなのだと思ってたよ」 「な、なんだと……?」  サラ、オレのこと、どんだけ変態だと思ってたんだよ!  オレがサラに食ってかかろうとするのをクレイが押しとどめて、冷静に意見する。 「この際、リデルの性癖は放っておいて、次の対戦について話し合った方が良くないか」  クレイの意見に一同が頷くのを見て、オレとしては釈然としない気持ちだったが、話はオレを無視して進んだ。
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