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宴もたけなわという頃、ネフィリカが帰って来る前から強い酒を呷(あお)っていたクレイとガイウスはずいぶん出来上がっていた。
同じように飲んだはずのヒューは酔った素振りも見せず涼しい顔をしており、オレは過去の反省からシードル(りんご酒)を飲んで羽目を外さないように気をつけている。
遅れて飲み始めたネフィリカもほろ酔いの雰囲気だったので、ふと思いついて疑問に思っていたことを聞いてみた。
「ねえ、ネフィリカ。ちょっと聞いてもいい?」
「はい、リデルさんの聞きたいことなら、何でも答えまふ!」
両手を握りこぶしで、ふんすといった鼻息で断言する。
あちゃ~、けっこう酔ってるな、これは。
「あのさ、ネフィリカがこの大会で良い成績を上げてアルサノーク傭兵団の評判を元に戻したいってのは、わかるんだ」
「はい、そうれす。リデルさんの言う通りれす」
「でもさ、ロスラムが襲撃なんて危ない橋まで渡って、アルサノークの邪魔をする理由がわからないんだ」
もし、足がつけば、大会不参加どころか傭兵団の不祥事になるようなことを、わざわざ弱小傭兵団のために行うだろうか?
「そのぉ……私が欲しいからみたいです」
何それ、その18禁みたいな展開は。
確かにロスラムは変態っぽいし、ネフィリカも健康そうな美人ではある。
けど、何か腑に落ちない感じがする。
すると、お酒で顔を赤くしたクレイがニヤニヤしながら横槍を入れてくる。
「ネフィリカの言う通りさ。奴が彼女を欲しがっているのは本当のことだ」
クレイの言葉にネフィリカは恥ずかしそうに、ますます顔を赤くした。
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