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「ん? クレイ君の彼女さん、何か私に言いたいことでもあるのかね」
「一応、オレもアルサノーク傭兵団の一員だから、口を出す権利があると思うんだけど」
お、顔を見ながらでも、何とか冷静に話ができたぞ。
クレイが心配そうに見てるけど、オレは平静を保っていた。
「それは、もちろんさ。一回戦の君の働きには驚かされたよ。とても強いんだね」
子どもに言って聞かせるような口調に、カチンときたけど、大人しく話を続ける。
「いろいろアルサノークのこと、心配してくれるのは有り難いけど、その心配は無用だと思う」
「ほう、何故だい?」
「ロスラムの連中が何を企もうと、オレ達は決して負けないからだ」
オレの宣言にドゴスを目を見開いた後、笑い始める。
「何か、おかしいこと言ったか?」
「……いや、失敬。君が大真面目な顔で冗談を言うものだから。だが、大人を甘く見ない方が良いな」
「別に甘く見てなんかないよ。単なる客観的な判断さ」
オレの物言いにドゴスは怪訝な顔付きで言う。
「クレイ君の強さは無論よく知っているが、彼だけではロスラムに対抗するのはとても無理というものだよ」
どうやら、ドゴスの頭の中にはクレイの強さだけが際立っているようだ。
言う必要はないが、オレとヒューが加われば、かなりチート過ぎる強さだと思うし、ソフィアの能力は謀略や裏工作などの不正規戦においては、地方の傭兵団が太刀打ちできるレベルではない。
ネフィリカを守りきれば死角はないはずだ。
「それは、やってみればわかるさ……ネフィリカ、これでいい? 何か異論ある?」
「い、いえ。リデルさんの言うとおりです」
突然、名指しされたネフィリカは驚きながらもオレの意見を肯定する。
「と言うわけだから、他に話がないなら、交渉は決裂だけど……」
オレがそう言ってドゴスの提案を拒否する旨を告げると、ドゴスはそれとは全く関係ない感想を漏らす。
「……リデル。今、ネフィリカは君の事、リデルと呼ばなかったか?」
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