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微妙に落ち込んでいるオレを尻目にクレイが続ける。
「仕方ない、責任の一端を感じて、帝国参事会のおさらいをするか」
「え、食事しながらするのかよ。マナー違反じゃないのか?」
大体、難しい話を聞きながら食べると消化に悪そうだし……。
「大丈夫だ。口に入れたまま話したりはしないさ。お前も食事中に会話を楽しめるぐらいのスキルを身につけないと、優雅に会食なんでできないぞ。第一、時間が足りてないんだ。多少の行儀の悪さは目をつぶってもらうしかない」
シンシアの方を見ると、不本意そうな顔だが、渋々頷いている。
「好きにしてくれ」
オレは諦めてクレイの説明を聞くことにした。
「そもそも、『帝国参事会』が帝国法に明記されておらず、統治制度にも含まれていないことは覚えているな」
「うん。あくまで皇帝の相談役で、私的な機関なんだろ」
「その通りだ。だから、本来は帝国参事会に国政を左右する権限はない。参加するメンバーも、通常は『皇帝』『宰相』『前宰相』『前尚書令』『前聖神官』『前大将軍』の6人に加え、皇帝に招請された有識者で構成される」
「諮問機関であって、決定機関ではない――だったっけ?」
皇女候補の時に聞いた講義では、そんな話だった筈だ。
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