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「だけどさ、ケルヴィンの地位で参事会に参加できるものなの?」
「奴も内政官に昇格したからな。ライノニアもカイロニアも公爵の代理として内政官が参加しているから、無理な話ではないだろう」
内政官というのは、行政府のトップである尚書令に次ぐ高官で5人しかいない役職なんだそうだ。
ケルヴィンが昇格する前は2名が欠員となっていたらしく、帝都を統括する内政官に宰相補の権限で任命されたのだと聞いている。
さすがはケルヴィン、着々と悪巧みを進行させているようだ。
「事前の打ち合わせで、ケルヴィンは『殿下は黙ってニコニコと座っているだけで十分です』なんて言ってたけど、ホントにそれでいいのか?」
「さっき話した通り、お前は生粋のお嬢様って触れ込みだからな。しゃべるとボロが出るので、黙っていてくれた方が有難いんだろ」
う~、反論したいけど正論過ぎて言葉が出ない。
でも、アーキスのおっちゃんには別人なんて通用しないと思う。
「それにな、リデル。ケルヴィンは、今回の参事会でお前の威光を借りて、どうしても進めておきたい案件があるのさ……」
「え、それって……」
「お二人ともお話に夢中で食事が進んでおりません。準備もありますので、お早めに済まされると有難いのですが……」
シンシアが申し訳なさそうにオレ達の話に割って入る。
「あ、すまん」
「ごめん、シンシア」
オレとクレイはシンシアに平謝りして、慌てて昼食に取り掛かった。
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