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衣装を着替えたら、お化粧に入る。
はっきり言って、女になって何が一番苦手かって、お化粧することだ。
本当に女の人は大変だって痛感した。
顔に厚塗りされると、肌が息苦しく感じるし、時間が経つと痒くなってくる。
汗をかくと悲惨だし、一刻も早く落としたい気分を我慢するのも苦痛だ。
ホント、女の人の忍耐強さに敬服する。
あ、今はオレも女性だった。
『でも、お化粧も慣れると楽しいですよ』
仲間内で一番、女子力の高いユクはそう言うが、オーリエもノルティも化粧不要論者なので、今までオレも化粧しないで過ごしてきた。
けど、皇女が全く化粧っけ無しっていうのはさすがに外聞が悪いらしい。
人前に立つのだから、最低限の身だしなみは整えてほしいとケルヴィンからも釘を刺されている。
『自分で化粧しなくていいだけ、マシさ』
『リデル、素だけで十分キレイ。(化粧しなくても)問題ない』
化粧下手のオーリエやリデル全肯定主義のノルティは無責任な発言をしていたけど、さすがのオレも人と会う日は化粧することを妥協するしかなかった。
もっとも皇女という職業柄(?)、人と会うのは日常茶飯事で、ほぼ毎日化粧する羽目になったのは言うまでもない。
オレが死んだ目になりながら、化粧を含め身支度を整えた頃、ケルヴィン内政官がオレの部屋を訪れた。
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