2926人が本棚に入れています
本棚に追加
/1300ページ
「……滅相もありません。私が化粧したところで何の意味もありませんし、男が化粧など恥ずべきことと存じます」
「そんなことないと思うけど……」
高位の貴族や神官、大商人などは男でもお化粧するって聞いたぞ。
対外的に活動する人は、相手に与える印象にも気を配るそうで、化粧も一つの手段として活用しているらしい。
宰相を志すなら、もっと柔軟にものごとを考えた方がいいのにと思う。
ちなみに、同じようにクレイに「オレだけなくお前も化粧しろ」って愚痴ったら、
「俺がこれ以上良い男になったら、他の奴らが結婚できなくなっちまうからな」
なんて、嘯(うそぶ)いていた。
そこまで緩いのもどうかと思うけど、ケルヴィンの頑なさに危うさを感じる時がある。
まあ、親友のデイブレイクが付いている内は大丈夫だろうけど。
「私のことは良いのです。それより宰相補の件で相談したいことがあります」
最初のコメントを投稿しよう!