街での噂

16/17
2926人が本棚に入れています
本棚に追加
/1300ページ
「トルペンがどうかしたの?」 「未だに姿を現さないのはいつものことなので仕方がないとして、あの容姿は問題です。あれでは参事会に出られません」 「まあ、普通はそうだよね」 「落ち着いている場合ではありません。殿下が大丈夫だと断言したので、様子を見ていたのです。どうなさるおつもりですか」 「え、そんなこと言ったっけ?」 「殿下!」 「冗談だよ、そんなに怒るなよ」  うっかり冗談も言えない。 「トルペンは大丈夫だ。ちゃんと参加はできる筈だ。ただ……」  ノルティからトルペンの様子は逐一報告を受けているので、現状はわかっている。  アストラル界で修復している本体は順調に回復しているようだが、あと半年は復帰できないそうだ。  なので、あの姿(トルペン美少年バージョン)は、まだしばらく続くことになるらしい。  しかも、あのバージョンは一時的な擬似生命体に過ぎないので、あれ以上の成長はできないとのことだ。  ケルヴィンの危惧するとおり、あのままでは、とても参事会には出席できないだろう。  そもそもトルペンだと言い張っても信用されないに違いない。  その解決策としてトルペンが提案してきたのが、 「幻覚魔法を使うそうだよ」
/1300ページ

最初のコメントを投稿しよう!