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「幻覚魔法?」
ケルヴィンが疑心暗鬼の表情を見せる。
まあ、気持ちはわからないでもない。
最初に聞いた時、オレも「そんなの上手くいく訳がないだろう」と思ったもの。
けど、上位古代竜(ハイエンシャントドラゴン)の名は伊達ではなかった。
実際に幻覚魔法を使ってもらったら、そのリアルさに開いた口が塞がらなかったほどだ。
トルペンに言わせれば、変化の魔法よりずっと簡単な術式なので、魔法深度を高めに設定できるそうで、相手に抗魔法スキルやアイテムがあったとしても十分通用すると豪語していた。
トルペンの言うことなので耳半分としても、恐らくは参事会にも問題なく参加できるだろう。
「ただね……見た目は完璧なんだけど」
「何か問題でも?」
「声は子供のままだから……」
話せば、一発でバレる。
「だ、駄目ではないですか!」
ケルヴィンが狼狽した声を上げる。
「うん、そこはケルヴィンの議事進行に期待ということで……」
オレの無茶振りに、しばらく沈黙したケルヴィンは深くため息をつくと
「良いでしょう。私が何とかします」
とだけ言った。
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