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「皇女殿下が御入室されます。方々、臣下の礼をお取りください」
ケルヴィンの招きに応じて、オレは取り澄ました表情で参事会が行われる『碧天の間』に進んだ。
オレが長テーブルの上座の席に座ると、ケルヴィンが列席者に声をかける。
「ご着席ください」
頭を下げ、恭順の意を示していた一同は面を上げると、ゆっくりと着席した。
オレの左手にはトルペンが座る。
どうやら、間に合ったようだ。
姿形も大人のトルペンで例の仮面もしっかり付けて座っている。
全員の着席を見届けた後、ケルヴィンが空いていたオレの右手の席に座ると場が少しざわめく。
「それでは、これより定例の帝国参事会を開会いたします。最初にご臨席の皇女殿下よりお言葉を賜りたいと存じます……それでは殿下、お願い申し上げます」
ざわめきが静まり、一同の視線がオレに集中するのがわかる。
興味、関心、好奇、落胆、侮蔑……さまざまな感情を孕んだ視線に、気後れしそうになるのを必死にこらえ、平然とした素振りで言葉を紡ぎ出す。
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