帝国参事会

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「アリシア・プレジィス・イオ・デュラントである。会に先立ち、まずは皆に礼を言いたい。皇女である私の不在の間、帝国を支えてくれたことに深く感謝する。ここに再び戻ることができたのも皆の尽力によるものと確信している。本日の参事会も忌憚の無い意見を交わし、帝国繁栄のために有意義な会となるように願う」  言い終えて軽く目礼すると、ケルヴィンが大げさに反応する。 「もったいないお言葉でございます。臣下として当然の責務を果たしたまでのこと。ここにいる一同、殿下のご帰還を心よりお喜び申し上げます。皇女殿下におかれましては、本日の参事会にご助言者としてご参加いただけると伺っております。何卒、高位のお立場からのご指導、よろしくお願いいたします」 「先達の皆に意見など笑止極まりないが、努力することを約束しよう」  よし。ここまでは、台本どおりにできたぞ。  ケルヴィンに目で合図を送ると、他の列席者にわからぬよう、かすかに頷いてくれた。    一応、及第点はもらえたようだ。  オレがほっとしていると、続けてケルヴィンが言う。 「それでは開会いたしますが、今回は皇女殿下を始め、初めて列席する方もおりますので 会に先立ちまして列席者の紹介をいたしたいと思います。それでは恐れながら小官が紹介を……」 「待たれよ。ケルヴィン殿」  一同の理解を得たと列席者の紹介に移ろうとしたケルヴィンに突然、制止の声がかかる。
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