帝国参事会

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「ネルレケス殿、釈然としない心情はお察しします。しかしながら、同じ内政官同士、参事会の議事が円滑に進むよう寄与していこうではありませんか」  お前も同じ内政官に過ぎないから文句言うな、というダメ押しにネルレケス内政官は猿のような顔を歪めて沈黙する。  うん、オレの頭の中で、猿=ネルレケス内政官と認識された。  人が多くて、誰が誰だかわからないので、動物で分類することにしよう。 「それでは当初の予定通り、列席者の紹介を行いたいと思います」  一同を見回し反対の声が上がらないの確認すると、ケルヴィンは続けた。 「上座から順にご紹介いたします。殿下の左手は『カール・トルペン』宰相補でございます」  トルペンが黙って一礼する。  まあ、今日はしゃべれないからね。  それにしても、よく間に合ったな。  腐っても、さすがは宰相補と言ったところか。  しかし、見るたびに思うけど、すごい魔法だ。  触らなければ、幻覚とは絶対にわからないだろう。  これじゃ、目の前の起こることをうかつに信じられなくなる。
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