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「次に右手に戻って、前尚書令の『ラーデガルト』様でいらっしゃいます」
ケルヴィンは自分を飛ばして、オレの右手の二番目の席の老人を紹介する。
にこにこした白髪のお爺さんで、どことなく梟を連想させる。
よし、梟爺さんと認定しよう。
「ラーデガルドでございます、殿下。再び、お会いできて嬉しく思います」
梟爺さんは、一礼すると親しげな笑顔を見せた。
良い人そうに見えるけど、帝国の内政を支えてきた人だ。
額面を信用するのは早計だろう。
「次はまた左手に戻り……」
ケルヴィンは順を追って紹介を続ける。
「前聖神官の『ニールアン』様でいらっしゃいます」
「ニールアンでございます。この度の奇跡のご生還はイオラート神のお導きと殿下のご信心の賜物でございましょう。今後も殿下と帝国の繁栄を大神殿は祈ってまいる所存でございます」
台詞は神官としての立場を感じさせる敬虔なものだけど、話している人物の印象はそれとは異なる。
長身痩躯で神経質そうな男で、聖職者にしては酷薄な感じを受けた。
何故だろう、爬虫類的なイメージが……そうか、蜥蜴に似てるんだ。
オレの頭の中で、蜥蜴神官と命名される。
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