帝国参事会

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 にしても、この人が本当に大神殿のトップにいたとは、ちょっと信じ難い。  きっと能力はすごく高い人なんだろうけど、部下になったら大変そうな気がする。  オレとの相性はケルヴィンのそれより悪いに違いない。  正直、彼を聖神官に推薦した教皇の見識を疑ってしまう。  何か政治的な配慮が働いたんだろうか。  大体、さっきは大神殿を代表するかのような発言をしたけど、今は引退して大神殿の籍から離れているので、何の権限もないはずだ。  もちろん、影響力は残っているだろうけど、実際に大神殿を動かせるかと言ったら、たぶん無理だと思う。  引退して時間が経っているし、人望無さそうだもの。  それよりも、極めて問題だと思うのは、彼の追従の言葉の裏にオレへの侮りが透けて見えていたことだ。  恐らく、市井で育ったオレに対し、見下す気持ちがあるのだろう。  神官として帝国において最上位に上り詰めた身としては、礼儀も知らず教養もない小娘を皇女として敬うのが我慢ならないに違いない。  気持ちはわかるけど、オレとしても今さら育った環境を変えることもできないし、大人なんだから内心はともかく表向きは不遜な態度は止めた方がいいと思うけどね。  まあ、とにかく、ここはなるべく大人しくて、これ以上敵対しないように気をつけよう。 「それでは続いて……」  オレがそんな風に考えている間にも、ケルヴィンの列席者の紹介は続いた。
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