帝国参事会

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「また、本日はご参加されませんが、カイル・アルベルト・デュラント公爵、ライル・エドワース・デュラント公爵が参事会の構成メンバーとなります。そして……」  一拍おくと、ケルヴィンは淡々と宣言した。 「私がこの度、帝都内政官を拝命し、参事会の議事進行を務めるケルヴィン・ロクアでございます。以後、お見知りおき願います」  不満げや訝しげな顔を見て、ケルヴィンは続ける。 「最初に確認しておきましょう。本来、参事会構成員でないライノニア・カイロニアの方々が本会に名を連ねている経緯でありますが、皇帝不在の現状に両公爵が帝国の行く末を憂い、自発的に参事会にご参加されるようになったと聞き及んでいます」  言い方は綺麗だけど、実際のところ、ごり押しで参加したのは明白だ。 「そして、この度ご生還なされた帝位第一継承者である皇女殿下もまた同様に帝国の現状を憂いておられます。ぜひ自分も参事会で微力を尽くされたいとの御申し出があり、私も若輩ながら力添えしたいと考え、このような次第となりました」  意訳すると、両公爵がごり押ししたんだから、皇女もするぞってことだ。  帝国法に記載の無い超法規的機関とはいえ、めちゃくちゃな話だけど、反対の声は上がらない。 自分たちのやってきたことに負い目を感じているからだろうか?  まあ、そういう訳で、なし崩し的にオレとケルヴィンの参加は認められ、その後は定例の議事が恙無く進行した。  そして、参事会も終盤に入り、あらかたの議事が終わったの見計らい、ケルヴィンがおもむろに一つの提案をする。 「私から一つ提案したい案件があります……近衛軍の再編成について、ご検討いただきい」  寝耳に水の提案に参事会一同は声を無くした。
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