帝国参事会

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「貴公の申されることは、一面正しいのだろう。けれど、現状は帝都に皇帝も兵衛府の首座で在られる上将軍も不在だ。いったい誰の命で人事を進める、また近衛軍の指揮は誰に執らせるおつもりか?」 「皇女殿下の名の下に新たな近衛軍司令を任じる予定です」  大方、デイブレイクを就けるつもりなんだろう。 「これは異なこと、皇女にその権限があるとは不明にも存じ上げなかった……さらに現在の近衛軍司令はいかがなさるつもりか」 「同じ言葉をお返しいたしましょう。公爵に帝国正規軍の人事に口を出す権限があるとは知りませんでした。現在、二人もいる近衛軍司令は両公爵が勝手に任じた者ではないのではありませんか?」 「その発言は公爵に対する侮辱であろう。問題ですぞ!」  猿顔内政官が目くじらをたてる。 「これは失礼、言い方を変えましょう。公爵様が任じることができるのなら、第一継承者の皇女様が任じるのも異なことではないでしょう」  お猿さんがぐぐっと唸って沈黙するが、アーキス将軍はため息をついて反論する。 「これは、わしが思うておることで、カイロニア軍全体がその解釈で動いているわけではないことを前提に話をするが……皆は東方大将軍と西方大将軍を知っておるかね?」 「寡聞にして知りませんでした。どのような役職でしょうか?」  素直に認めたケルヴィンが尋ねる。
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