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「公爵には参事会の結果をご報告いたしますが、近衛軍の再編成が実現するかは確約できません。参事会の決定に法的強制力はありませんので……」
リセオット内政官はそう負け惜しみを言っていたけど、公爵としても考慮しないわけにはいかないだろう。
そうしないと、今まで自分達が参事会で決めてきたことが反古になる可能性があるからだ。
今回の参事会はケルヴィンの完勝といったところか。
すべての議事が終了し、オレが台本どおり最後に講評を述べると、帝国参事会は閉会した。
オレが内心、ほっとしながら退出しようとすると、アーキスのおっさんが何か言いたげな表情をしている。
声をかけてやりたかったけど、リデルとは別人という設定なので無視する他なかった。
皆に送られる形で会場を出ると、差配しているアレイラを見かける。
部下に指示を出すなど、本当にてきぱきと働いていて感心した。
本人は不本意かもしれないが、意外と裏方も合っている気がする。
何となく、声をかけるのが躊躇われて、オレはそそくさとその場を離れた。
アレイラの性格からして、地味に頑張ってる姿は見られたくないような気がしたからだ。
実際、アレイラって派手な容姿や言動で勘違いされやすいけど、けっこう真面目で努力家なんだよな、本人は絶対に認めないけど。
それはさておき、座っていただけなのに意外と疲れた気がする。
やっぱり、会議は苦手だ。
今度から、オレも両公爵のようにケルヴィンを代理にして一任しようか。
そんな考えに囚われながら、控えの間で待っていたシンシアと合流し 、自室へと向かった。
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