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「でも、今なら幻覚で大人バージョンになってるから……」
「大人バージョン?」
不思議そうな顔をしたユクにトルペンの幻覚魔法のことを説明する。
「ホント、何でもありなんですね、あの人」
呆れた口調で言うユクの表情は口調ほど冷たくはなかった。
ほんの少しではあるけど、雪解けの兆しが見えたような気がした。
こういうときは無理に押さない方がいい。
「それよりユク、シンシアも一緒に聞いてくれ。さっきの参事会の様子なんだけど……」
オレは話題を変え、腹心の友達に参事会の結果を報告することにした。
本来なら、皇女付きの侍女と宰相補の娘に国家の重要会議の内容を知らせるべきではないのだろうけど、二人はオレにとって良き相談相手であり、信頼できる友達なのだ。
それに二人の意見には傾聴に足る示唆を含んでいることも多い。
ケルヴィンに知られたら目くじらを立てそうだけど、バレなきゃいいのだ。
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