ユクの決心

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「なるほど、ケルヴィン内政官もいろいろと考えているのですね。自意識過剰で策士家気取りのいけ好かない男だと思っていましたけど、それなりに頭が使えるというわけですか」  オレの報告を聞き終えたシンシアが感想を述べる。  相変わらず、クレイ以外の男性に対しては辛辣だ。  最近のオレやユクに対する態度を見るにつけ、男性より女性が好きなんじゃないかと少し疑っている。 「やはり、彼の弱みは成り上がり者特有の係累の少なさと貴族との繋がりの薄さにあると言えるでしょう。信頼できる手駒がデイブレイク近衛隊長のみというのは、些か心もとないでしょうね」  手厳しいが、もっともな指摘だ。 「リデル様、どうかされましたか?」  オレが感心してシンシアを見つめていたら、不審げな表情で聞いてくる。 「いやさ、シンシアって相変わらず頭いいなと思って。というより、何気に教養高いよね。誰かについて勉強してたの?」 「あたしも、そう思いました。シンシアさんって、頭良くてかっこいいです」 「べ、別にこれくらい普通ですから」  少し顔を赤くしてシンシアは答える。  いやいや、普通じゃないって。  ユクもお母さんが村長の娘でかなり優秀だったこともあり、一般市民として考えれば、ずいぶん教養が高い。  けど、シンシアのそれは市民レベルをはるかに超えていると思う。
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