第5章・深まる不信感

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「ブランクがあったって、探せば雇ってくれる塾はあると思うよ。教員免許だって持ってるんだし」 「そういう問題じゃなくて……。私は翻訳の仕事がしたいの。あなたは私を働かせたいの?」 「無理に働いて欲しいとは思ってない。だけど持て余した時間を、くだらない妄想に費やされたら困る」 「妄想じゃないわ。ただ、理穂さんから聞いたことを確認してるだけでしょ?」 「だったら答えは出ただろ。俺はディズニーランドに行ってない。理穂さんの勘違いだ」 夫はきっぱり言い放ち、ワインを飲み干した。 私は夫のグラスにワインを注ぎ、もう一度勇気を振り絞る。 「わかった、あなたを信じるわ。気を悪くしたらごめんなさい……。話は変わるけど、やっぱり私は子供が欲しいの。仕事よりも子供が欲しいくらい……。言いにくいんだけど、治療を受けてもらうのは無理?」
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