第5章・深まる不信感

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私は俯いたまま一気に言った。 夫の顔を見るのが恐かった。 夫は何も言わず、沈黙が続く。 私は恐る恐る顔を上げて、夫を見つめた。 夫は私から顔を背け、苦々しそうに言う。 「今度はそっちで俺を責めるのか?」 「責めてるんじゃなくて、お願いしてるの」 「今更そんなこと言われたら、俺だって辛いよ。子供のことは一年前、気持ちを確認し合ったのに……。由布香だって『無理には望まない』って言ったじゃないか」
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