第5章・深まる不信感

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夫は車通勤なので、電車で密着した女性から匂いが移ることなどない。 私は不審に思いながら、夫の身体にすり寄って尋ねる。 「香水つけた?」 「い、いや……」 焦った夫の様子は怪しかった。 「でも香水の匂いがする。買ってつけたのかと思った」 「あー、実はデパートに寄った時、試すだけしたんだ。でも買わなかった」 取り繕った嘘の言い訳。 事実なら最初からそう言う筈なのだ。
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