第6章・溢れる涙と優しいキス

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「まだ余裕がある、ってことですか?」 「ううん、余裕じゃなくて……やっぱり恐いのよ」 「矛盾してません? 疑いが続いて苦しいままは嫌だから、証拠が欲しいんですよね。でも真実を知るのは恐い。どっちも嫌だったら、それこそ解決できないと思うんです」 「それはよく分かってる。でも、簡単には割り切れないの。真実を知りたい気持ちと、知るのが恐い気持ち。できれば、まだ夫を信じたいのもあるし……」 理穂は困った顔で私を見つめる。 「ご主人を信じたい気持ちは分かります。だけど行動が怪し過ぎますよね? 私だったら白黒ハッキリさせます」 「理穂さんは強いわ……」 「だって、もし何年もこんな状態が続くなら、そっちの方が耐えられない!」
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