第12章・夫の告白

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理穂が責めれば責めるほど、夫の顔は苦しそうに歪む。 私は見ているだけで精一杯だった。 二人の言い争いを呆然と見つめながら、自分とは無関係な出来事のように感じていた。 自分とは無関係の、男と女の修羅場。 そう感じてしまった私は、もう夫を愛していないのだろう。 ずっと悩み苦しんできた。 その張り詰めていた気持ちがプツンと切れた瞬間だった。 「理穂さん、時間は大丈夫?」 尋ねる私の声は、自分でも驚くほど冷静だった。
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