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理穂は硬い表情で言うが、見ると指先に血が滲んでいた。
包丁で切ったのだろう。
まな板の上には、まだ途中らしき玉ネギのみじん切りがある。
「その指、手当てした方がいいわ」
「大丈夫です」
「ううん。消毒してバンソコウを貼りましょう」
最初は拒否していた理穂も、そのままでは台所仕事にも差し障るので、しぶしぶ私の手当てを受けた。
私は理穂の指にバンソコウを巻きながら、何気なさを装って尋ねる。
「翔君は元気?」
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