71人が本棚に入れています
本棚に追加
玉ネギのみじん切りを終えた理穂は、ニンジンの皮をむき始めた。
「理穂さんが夫と一緒になりたいなら、私は全面的に協力する。だから、私の話を聞いて!」
理穂は無言のまま、皮をむいたニンジンを刻んでいく。
トントンとリズミカルな音が響き、理穂は私を無視して台所仕事に没頭していた。
「こんなの、理穂さんは嫌じゃないの?」
「…………」
「私だったら耐えられない。好きだった人の家庭で、奥さんもいるのに家政婦なんて。惨めな気分にならない?」
わざと攻撃的な言葉を投げてみた。
理穂が怒って感情を出してくれたら、それが突破口になる気もして……。
最初のコメントを投稿しよう!