第18章・罠

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ただ最初に旅行の提案をされた時より、嫌悪感は薄れている。 アメリカに渡ったら、桜を見る機会もないだろう。 この地での暮らしを思い出し、感傷的な気分にさえなった。 ◆ ◆ ◆ 仕事に就いてからは、一日の流れがとても早かった。 あれよあれよという間に時が過ぎ、気づくと三月下旬。 そしてとうとう旅行に出かける朝を迎えた。 「由布香の準備が出来たら出発するよ」 朝食を終え、キッチンで皿を洗っていると、背後から夫に声をかけられた。
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