第18章・罠

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抜け出す気満々だったのに、私は出鼻をくじかれていた。 “由布香にとって悪い話じゃない” 頭の中で夫の言葉が何度も再生される。 その言葉に支配されたように、私は動けずにいた。 話の内容がやはり気になるのだ。 まず夫の話を聞こう。 その後でも抜け出すチャンスはあるから……。 そう思ってしまった私は、お茶を淹れて夫が風呂から出るのを待つ。 入浴を終えた夫がタオルで頭を拭きながら、食卓に腰を下ろした。
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