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陽生君を乗せた電車は遠くに過ぎ去り、私は改札を出た。
陽生君……。本当に好きだった。大好きだったよ!
感情が昂ぶって涙が出そうになり、私は慌ててまぶたを押さえる。
足早に駅構内から外へ出ると、夕暮れ前の青空が広がっていた。
眩しい太陽が昼間よりも影をひそめた優しい青空。
私は通りの隅で立ち止まり、空を見上げて祈る。
「幸せになってね」
祈りに応えるような柔らかい風が頬に当たり、私は再び歩き始めた。
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