第22章・10年待ってて下さい

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重かった場の空気が変わった。 景太の笑顔につられ、私もふっと笑う。 職場で笑うことはあってもプライベートで笑ったのは久しぶり。 肩の力が抜けて楽になった気がした。 一人で子供を産んで育てると決めた時から、自分なりに気を張ってきた。 好意を寄せてもらうことさえ苦しくなった。 嬉しいのに苦しいという、今まで味わったことのない複雑な感情。 どうして私なんかを……? と相手の好意を信じ切れず、屈折した感情を抱いていたのかもしれない。 私の笑顔を見た景太は、安堵の笑みを浮かべている。
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