第22章・10年待ってて下さい

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「先生をずっと見守ってるって言ったけど、絶対とまでは言いません。先のことは誰にも分かりませんから」 「そうね」 「でも今の気持ちは真剣です。それは俺だけじゃなくて、陽生さんも同じだと思います」 「…………」 「先生はもっとシンプルに考えていいと思いますよ。俺が言うのも生意気だけど」 「自分じゃよく分からない。でも景太君の言葉で何かホッとした。『その時はあきらめて下さい』って言われて、救われたような気持ちになったの」 「それなら良かったです。自分の気持ちのままに生きて欲しいです。子供がいたって遠慮や引け目を感じる必用ないし、俺も自分の気持ちのまま生きるつもりです」 私はこくんと頷き、景太の言葉を反芻しながら窓越しの青空を見つめた。
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