第四話:シンの過去

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「お互い様なとこがあるから、あいつも文句言えないんだよ」 「え?」 「そう言えば百合には話してなかったな。俺がマコトの中に存在する訳を」 そう言ってシンがフッと自嘲した瞬間、シンのバックで花火がパンときれいに開いた。 マコトさんが人格障害になった理由を教えてくれるというのだろうか? しかし、緊張してゴクリと唾を飲み込んだ私にシンが告げた理由は、 「中学か高校くらいの時に、気付いたら俺が外に出てた」 だった。 もっと重い理由かと緊張していた自分が馬鹿馬鹿しくなり、ため息混じりにシンを睨む。 「睨むなよ。気付いた時に俺が居たのは本当の話だしな。理由を知りたいならマコトに聞け」 「教えてくれるって言ったのはシンなのに」 「別に教えるとは言ってない」 むぅとむくれる私にシンは花火を指差した。 「俺にはこんな風に視える」
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