第四話:シンの過去

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「明日も見るか?花火」 「見たい!あ、でも……彼女……」 本日の花火が終わり明日の話になったけれど、シンの彼女の存在を思い出して口ごもる。 こんないい場所で花火が見られるなら、秘書の私よりも彼女と見た方が何倍も楽しいだろう。 そう思って遠慮したのに、シンがプッと吹き出したので眉を寄せた。 「彼女なんかいない」 「えっ!?だってさっき――」 「過去形だ。今はいない」 彼女はいない、という事実にホッとしたのも束の間、すぐに怒りが込み上げてくる。 「ちょっと!私がシンに彼女がいるって誤解してるの分かってたんだったら、その時指摘してよね!馬鹿みたいじゃない」 「ムキになって面白かったから放っておいたまでだ」 「――っ、もう!」 キッと睨んで腕を振り上げると、シンが私の手首をパシンと掴んで叩くのを阻止された。 「すぐ忘れるようだから改めて忠告しておくが、俺が許可した時以外俺に触れるな」
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