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「明日も見るか?花火」
「見たい!あ、でも……彼女……」
本日の花火が終わり明日の話になったけれど、シンの彼女の存在を思い出して口ごもる。
こんないい場所で花火が見られるなら、秘書の私よりも彼女と見た方が何倍も楽しいだろう。
そう思って遠慮したのに、シンがプッと吹き出したので眉を寄せた。
「彼女なんかいない」
「えっ!?だってさっき――」
「過去形だ。今はいない」
彼女はいない、という事実にホッとしたのも束の間、すぐに怒りが込み上げてくる。
「ちょっと!私がシンに彼女がいるって誤解してるの分かってたんだったら、その時指摘してよね!馬鹿みたいじゃない」
「ムキになって面白かったから放っておいたまでだ」
「――っ、もう!」
キッと睨んで腕を振り上げると、シンが私の手首をパシンと掴んで叩くのを阻止された。
「すぐ忘れるようだから改めて忠告しておくが、俺が許可した時以外俺に触れるな」
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