第四話:シンの過去

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そうだった。 私が触れると人格交代が起こってしまうから、むやみに触れてはいけないのだ。 「……でも……ズルくない?」 「何がだ」 「だって、私がシンに触ったら交代しちゃうのに、シンが私に触っても交代しないなんて……どんな仕組みなの一体」 「知るか。研究結果も“不明”らしいからな。お前の手が普通じゃないんだろ」 全く不便な手だ。 これじゃあシンに触りたい時に触ることが出来ないじゃない。 ……って、別に触りたいだなんて思わないけれど、さっきみたいな時に叩いたりはしたいのに。 「あ!もしかして、手じゃなかったら触っても大丈夫だったりしないのかな?」 「……確かに……試したことないな」 「実験!してみる?」 「どこで触るつもりなんだ」 腕を組んでうーんと考える。 普通、人に触るっていったら“手で”だけど、他に触るのに適した場所があるだろうか。
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