第四話:シンの過去

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足? いや、足なんかでシンに触れようものなら「ふざけるな」とか言って、逆に蹴り飛ばされそうだ。 だったら、腕? 肩を組むみたいに触れるなら普通じゃない? でも、手は腕の一部だし、万が一肩を組んで交代してしまったら、マコトさんにその状況をどう説明しよう……。 そうなってくると腕は怖いから、頭とか? 頭突きみたいな? あぁもう……訳分からなくなってきた。 「実験出来そうにないです……副社長」 降参の意味を込めて茶化すと、シンがテーブルに片手をついて私との距離を詰めてきた。 近づいたシンの整った顔に、胸がバクンと反応する。 「キスでもしてみるか?」 「――ッ」 驚く私に構うことなくシンはグッと顔を近づけてきて、拳一つ分空けた距離で静止した。 呼吸をしたらシンに掛かってしまいそうで、思わず息を止める。
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