第四話:シンの過去

18/32
前へ
/195ページ
次へ
「今日はこれ以上の実験は駄目だ」 「何で?」 私が理由を聞き返すと、シンはスタスタとダイニングルームの扉に向かって歩き出し、ドアノブに触れたところで振り返った。 「他の部位で試して、万が一強制交代が起こったらどうする?」 「どうする?ってマコトさんに代わるだけでしょ?」 「それが理由だ」 「は?」 さっぱり意味が分からないのに、扉を開けて出て行こうとするシンに走り寄って扉を押さえる。 「待ってよ、意味分かんないんだけど」 ハァ、とため息を吐いたシンが、ジロジロと視線を動かしながら私を見て再びため息を吐いた。 「冴子の方がよっぽど美人なんだが」 「はぁ?何で冴子さんが出てくるの?」 またしても意味不明な発言をするシンに苛立ちが隠せずにいると、不意に視界が遮られた。
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

374人が本棚に入れています
本棚に追加