第四話:シンの過去

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「百合はどこでも何でも楽しみに変えるな」 「……それって誉めてるの?けなしてるの?」 「一応誉めてる」 腕を組んでエレベーターの壁にもたれかかってそう笑うシンは、言葉とは裏腹に優しい笑顔をしていてまた胸がトクンと反応した。 やっぱり駄目だ。 表面的には何もなかったふりが出来ても、心の中はシンを意識して動揺しまくっている。 エレベーターが下に着いてシンの斜め後ろをついて歩く時も、シンの後ろ姿から目を離せないでいた。 すると、シンの肩がふるふると揺れ、 「俺の背中ばかり見ていないで、遊園地をしっかり見てろよ?巡回なんだから」 と言われてしまい、恥ずかしさに顔を赤くしながら「そんなの分かってます」と、悔し紛れに言い返した。
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