第四話:シンの過去

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そんなこんなで遊園地を巡回していると、シンの足が突然ピタリと止まり、危うく背中に激突してしまいそうになる。 「ど、どうしたんですか?」 まさか人格交代?と思い顔を覗き込むけれど、シンの目は開かれたまま一点を見つめているだけだった。 人格交代が起こったわけではなさそうなのでその一点に視線を移すと、一組のカップルが仲良さげにベンチに座ってアイスを食べていた。 知り合い? そう思っていると、カップルの女性の方がこちらに気が付き、大きく目を見開きながらベンチから立ち上がった。 「シン!」 「……瞳(ヒトミ)」 彼女にはおよそ届かない大きさでそう呟いたシンは、珍しく動揺の色を滲ませていた。 シンが瞳と呟いた女性は、一緒にいた男性に許可を得たのか、一人でこちらに向かって歩いてきた。
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